今回は各科目の出題項目について説明していきます
平成28年11月22日の薬剤師国家試験出題基準改定部会の薬剤師国家試験出題基準を参考にしていきます
原文を見たい人はpdfが公開されているので、そちらを確認してみてください
物理・化学・生物
物質の物理的性質(大項目です)
物質の構造(中項目です)
化学結合(小項目です)
人の体や薬物の基本的性質・特性を理解するために必要な基礎知識を問う
- 化学結合の様式について説明できること
- 分子軌道の基本的概念と軌道の混成について説明できること
- 共役や共鳴の概念を説明できること
薬の性質は、これを理解することで分かってくると思います
分子間相互作用
生命現象や薬物の薬効発現を理解するために必要な基礎知識を問う
- ファンデルワールス力の概要を説明できること
- 静電相互作用について例を挙げて説明できること
- 双極子間相互作用について例を挙げて説明できること
- 分散力について例を挙げて説明できること
- 水素結合について例を挙げて説明できること
- 電荷移動相互作用について例を挙げて説明できること
- 疎水性相互作用について例を挙げて説明できること
薬の薬効や、体の中の現象を理解するためには必要な知識です
原子・分子の挙動
臨床で用いられる分析を理解するために必要な基礎知識を問う
- 電磁波の性質及び物質との相互作用を説明できること
- 分子の振動、回転、電子遷移について説明できること
- 電子や核のスピンとその磁気共鳴について説明できること
- 光の屈折、偏光、旋光性について説明できること
- 光の散乱、干渉について説明できること
- 結晶構造と回折現象の概要を説明できること
NMR等の分析機器では、これの原理を利用していることがあります
放射線と放射能
臨床で用いられる放射性物質の基本的性質を理解し、安全な取り扱いに必要な基礎知識を問う
- 原子の構造と放射壊変について説明できること
- 電離放射線の種類を列挙し、それらの性質及び物質との相互作用について説明できること
- 代表的な放射性核種の物理的性質について説明できること
- 核反応と放射平衡について説明できること
- 放射線測定の原理と利用について概要を説明できること
最近は放射線を利用した薬や治療法が出てきているので、覚えておく必要があります
物質のエネルギーと平衡
医薬品を含む化学物質の状態や生体生体との相互作用を理解するために必要となる知識について問う問題です
機体の微視的状態と巨視的状態
気体の微視的状態と巨視的状態の基礎知識を問う
- ファンデルワールスの状態方程式について概要を説明できること
- 気体の分子運動とエネルギーの関係について概要を説明できること
- エネルギーの量子化とボルツマン分布について概要を説明できること
物理関係は難しいですね。何言ってるのかわからないです笑
エネルギー
熱力学的な基礎知識を問う
- 熱力学における系、外界、境界について説明できること
- 熱力学第一法則を説明できること
- 状態関数と経路関数の違いを説明できること
- 定圧過程、定容過程、等温過程、断熱過程を説明できること
- 定容熱容量、定圧熱容量について説明できること
- エンタルピーについて説明できること
- 化学変化を伴うエンタルピー変化について説明できること
薬の物性などを考えるうえで重要な部分です
自発的な変化
熱力学的な基礎知識を問う
- エントロピーについて説明できること
- 熱力学第二法則について説明できること
- 熱力学第三法則について説明できること
- ギブズエネルギーについて説明できること
- 熱力学関数を使い、自発的な変化の方向と程度を予想できること
ここも薬の物性に関わるところです
化学平衡の原理
熱力学的な基礎知識を問う
- ギブズエネルギーと化学ポテンシャルの関係を説明できること
- ギブズエネルギーと平衡定数の関係を説明できること
- 平衡定数に及ぼす圧力及び温度の影響について説明できること
- 共役反応の原理について説明できること
この辺も同じく薬の物性に関わる部分です。結構苦手でした。
相平衡
相平衡に関する基礎知識を問う
- 相変化に伴う熱の移動について説明できること
- 相平衡と相律について説明できること
- 状態図について説明できること
平衡についてです。よく問題で見かけるような気がします。
溶液の性質
溶液の性質に関する基礎知識を問う
- 希薄溶液の束一的性質について説明できること
- 活量と活量係数について説明できること
- 電解質溶液の電気伝導率とモル伝導率の濃度による変化を説明できること
- イオン強度について説明できること
溶液関係の基本部分です。薬の溶け方にも関わってきます。
電気化学
酸化還元に関する基礎知識を問う
- 起電力とギブズエネルギーの関係について説明できること
- 電極電位(酸化還元電位)について説明できること
酸化還元反応の計算の少し難しいものです。高校化学でも似たようなことを習っていると思います。
物質の変化
医薬品を含む化学物質の変換過程を理解するために必要となる知識を問う問題です
反応速度
変換過程を理解するために必要な基礎知識を問う
- 反応次数と速度定数について説明できること
- 微分型速度式を積分型速度式に変換できること
- 代表的な反応次数の決定法を列挙し説明できること
- 代表的な(擬)一次反応の反応速度を測定し、速度定数を求めることができること
- 代表的な複合反応(可逆反応、平行反応、連続反応等)の特徴について説明できること
- 反応速度と温度との関係を説明できること
- 代表的な触媒反応(酸・塩基触媒反応、酵素反応等)について説明できること
薬の溶け方に関わる部分です。個人的には重要だと思います。
化学物質の分析
分析の基礎
医薬品を含む化学物質の分析を正しく実施するために必要となる知識を問う問題です
分析の基本
化学物質の分析を正しく実施・解析するために必要な基礎知識を問う
- 分析に用いる器具の正しい使用法を説明できること
- 測定値を適切に取り扱うことができること
- 分析法のバリデーションについて説明できること
正直あまり問題としては、見たことないような気がしますが、基本なので重要です。
溶液中の化学平衡
医薬品を含む化学物質の溶液中での平衡を理解するために必要となる知識を問う問題です
酸・塩基平衡
溶液中での酸・塩基平衡を理解するために必要な基礎知識を問う
- 酸・塩基平衡の概念について説明できること
- pHと解離定数について説明できること
- 溶液のpHの測定法を説明できること
- 緩衝作用や緩衝液について説明できること
緩衝液を作るのような問題も出ますし、薬の吸収にも関わる部分です。
各種の化学平衡
溶液中での酸・塩基平衡以外の化学平衡を理解するために必要な基礎知識を問う
- 錯体・キレート生成平衡について説明できること
- 沈殿平衡について説明できること
- 酸化還元平衡について説明できること
- 分配平衡について説明できること
平衡は薬を考えるうえで重要です
化学物質の定性分析・定量分析
医薬品を含む化学物質の分析を実施するために必要となる知識を問う問題です
定性分析
化学物質の定性分析を正確に実施するために必要な基礎知識を問う
- 代表的な無機イオンの定性反応の概要を説明できること
- 日本薬局方収載の代表的な医薬品の確認試験を列挙し、その内容を説明できること
このあたりは暗記が多かった気がします。
定量分析(容量分析・重量分析)
化学物質の定量分析を正確に実施するために必要な基礎知識を問う
- 中和滴定(非水滴定を含む)の原理、操作法と応用例を説明できること
- キレート滴定の原理、操作法と応用例を説明できること
- 沈殿滴定の原理、操作法と応用例を説明できること
- 酸化還元滴定の原理、操作法と応用例を説明できること
- 日本薬局方収載の代表的な医薬品の容量分析の内容を説明できること
- 日本薬局方収載の代表的な純度試験を列挙し、その内容を説明できること
- 日本薬局方収載の重量分析法の原理と操作法を説明できること
測定法は知ってるか、知らないかなので、覚えるしかないです。効率的に覚えましょう。
機器を用いる分析法
医薬品を含む化学物質の分析を実施するために必要となる知識を問う問題です
分析法も知ってるか、知らないかなので、頑張って覚えましょう。よく出る分析法と出ると予想されているものから勉強していきましょう。
分光分析法
分光分析を正しく実施し、得られた結果を正しく判断するために必要な基礎知識を問う
- 紫外可視吸光度測定法の原理と応用例を説明できること
- 蛍光光度法の原理と応用例を説明できること
- 紫外吸収(IR)スペクトル測定法の原理と応用例を説明できること
- 原子吸光光度法、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法とICP質量分析法の原理と応用例を説明できること
- 旋光度測定法(旋光分散)の原理と応用例を説明できること
- 分光分析法を用いた日本薬局方収載の代表的な医薬品の分析方法を説明できること
核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定法
核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定を正しく実施し、得られた結果を正しく判断するために必要な基礎知識を問う
- 核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定法の原理と応用例について概要を説明できること
質量分析法
質量分析を正しく実施し、得られた結果を正しく判断するために必要な基礎知識を問う
- 質量分析の原理と応用例を説明できること
X線分析法
X線分析を正しく実施し、得られた結果を正しく判断するために必要な基礎知識を問う
- X線結晶解析の原理及び応用例について概要を説明できること
- 粉末X線回折測定法の原理と利用法について概要を説明できること
熱分析
熱分析を正しく実施し、得られた結果を正しく判断するために必要な基礎知識を問う
- 熱重量測定法の原理を説明できること
- 示差熱分析と示差走査熱量測定法の概要を説明できること
分離分析法
医薬品を含む化学物質の分離を実施するために必要となる知識を問う問題です
クロマトグラフィー
クロマトグラフィーによる分離を正しく実施し、得られた結果を正しく判断するために必要な基礎知識を問う
- クロマトグラフィーの分離機構を説明できること
- 薄層クロマトグラフィーの特徴と代表的な検出法を説明できること
- 液体クロマトグラフィーの特徴と代表的な検出法を説明できること
- ガスクロマトグラフィーの特徴と代表的な検出法を説明できること
- クロマトグラフィーを用いた試料の定性・定量法を説明できること
電気泳動法
電気泳動による分離を正しく実施し、得られた結果を正しく判断するために必要な基礎知識を問う
- 電気泳動法の原理と応用例を説明できること
臨床現場で用いる分析技術
基礎から応用への橋渡しを考慮して、臨床現場で用いられる代表的な分析技術を正しく実施するために必要な基礎知識を問う
分析の準備
分析技術の正しい実施に必要となる適切な準備を選択するための基礎知識を問う
- 分析目的に則した試料の前処理法を説明できること
- 臨床分析における精度管理と標準物質の意義を説明できること
分析技術
分析技術を正しく実施し、得られた結果を正しく判断するために必要な基礎知識を問う
- 臨床分析で用いられる代表的な分析法を列挙できること
- 免疫化学的測定法の原理を説明できること
- 酵素を用いた代表的な分析法の原理を説明できること
- 代表的なドライケミストリーについて概要を説明できること
- 代表的な画像診断技術(X線検査、MRI、超音波、内視鏡検査、核医学検査等)について概要を説明できること
まとめ
いかがでしたでしょうか。
予想以上に量があったので、生物・物理・化学を2回に分けました。
書いてあることはたくさんありますが、ひとつひとつについては、大半はそこまで難しいものではないと思います。
量が多いので、効率的に勉強することが重要ですよ!
少しでもお役に立てたら幸いです
それでは!!
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